キャンドルの炎「剣道審査員の目」からの珠玉のアドバイス集です!
小林英雄師範 神奈川県警察名誉師範)
[小林先生とは、平成17年9月11日に鎌倉鶴ヶ丘八幡宮の研修道場で稽古を頂戴しました]
審査員の心に響く気合が出ているか
私が三十三歳で五回目の七段審査のときのこと。当時、七段の京都審査会は八段審査の翌日に行っていました。そして八段審査を見学する機会に恵まれたのですが、気迫が桁違いでした。
当時、三十歳を少し過ぎた頃の私にとって八段受審者は雲の上のような方々です。
その先生方が全身から漲るような気合を発して試験を受けている。 自分の気合と比較して、先生方の必死な姿は衝撃的というよりもカルチャーショックに近いものがありました。
気合は本来、気力の充実と密接な関係があり、心気力が一致すれば自然発生的に声が掛かるものです。

重岡先生のお世話役をさせていただいたとき、「八段審査で大切なことは何だと思う?」という、難しい質問をされ、正直に「わかりません」と返答すると「最も大切なのは、冴だよ」とのお言葉を頂戴しました。・・・
の利いた技を生むには手の内の作用が必要です。力んだ手の内では冴のある打突はでせません。冴を身に付ける方法の一つとして素振りが効果的ではないかと私は考えています。

竹刀の正しい握り方については、昔から「左手は鶏卵を握るように、左手は唐傘を握るように」と教えています。左手の傘を握るという教えは、傘を支えるために自然と手の甲がひし形に、縦に長く伸びるからです。

素振りについては、中村太郎先生に徹底的に指導されました。先生は常々「剣先が生きていないと(素振りをする)意味がない」と言われていました。 剣先が生きてくると打ち込んだ瞬間に剣先がババッと震えます。

小川忠太郎先生は「剣先に気を持っていきなさい」と表現されていましたが、気は熟練されてくるに応じて手元から剣先に移ります。

肘関節、肩関節が硬くなっては冴のある打突はできません。両関節の力を抜き、打つ瞬間に手の内を締め、すぐに力を抜くことがこつです。
竹刀を上げるときは、両肘関節を折らない感覚が肘が上がり、方が上がる。この感覚を身に付けるまでコツコツと根気強く続けたいものです。

振り上げを速くすることが大切です。打突の冴にはある一定のスピードが必要であり、それが振り上げのスピードです。

特錬(機動隊剣道特練員)を退くにあたり菊池傳先生から「小林、これからがほんとうの剣道だよ」とのお言葉を頂戴しましたが、限られた時間でいかに工夫するかを学びました。老若男女を問わず、充実した気力で馴れ合いの稽古にならぬよう心がけたいものです。

普段の稽古を通して「我、上位なり」と思えるほど自信をつけることを目標とするのです。「我、上位なり」の気持ちで稽古に望めば構えも自然と正しくなり、体勢を大きく崩して当てにいくような打突は出さなくなるはずです。決して相手を蔑むという意味ではないことを付け加えておきます。

技はからだで打つものです。頭で考えた技は、ほんとうの技とは言えません。自分でも覚えていないから相手は避けられないのです。一足一刀の間合いで決着しなければ、さらに間合いを詰めていく必要があるかもしれません。ギリギリの間合いに入ってからの勝負です。その過程を大切にしたいものです。その先はからだが自然に仕事をしてくれます。(引用抜粋おわり)

「晩成」珠玉のアドバイス集を整理の理由